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前会長挨拶

同窓会広報

第52号
前会長  風 岡 正 明
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前会長 風岡正明 写真

七十歳の半ばを過ぎて、まさか愛教同の会長になろうとは思いもよらぬことでした。数年前には負担が重なって精神的に不調な時期があっただけに、任期を全う出来るかどうか聊か不安を抱えながらでしたが、なんとか無事に終えることができて安堵しています。野田名誉学長はじめ各地区の役員の皆様、また事務局には何かとお支えをいただきましたこと、この場を借りて厚く感謝申し上げます。

さて、今さらながら同窓というのはどういう意味があるのか考えています。ただ単に同じ場で学んだということだけでなく、いろいろな人との邂逅があり、ともに事を成し遂げてきた体験を経て、そこに同窓の意識も生まれるのだと思います。そんな例を幾つか上げてみましょう。

  • 同年には優秀な人がたくさんいて刺激的でした。清水義範という名前をご存じでしょうか。『国語入試問題必勝法』『蕎麦ときしめん』などで吉川英治文学新人賞、中日文化賞などを受賞されました。私とは同年で、学生時代には同人誌を発行し「宮本ムサクルシと佐々木コジキの決闘」などというパロディを書いては人に見せて面白がっていました。
  • クラブ活動はもちろん「書道部」に。毎年の夏休みには三河の海老の山中にある禅寺「釣月寺」で一週間の合宿に参加しました。30名以上の大所帯で書道づけの共同生活。忘れられない絆となりました。夕方になって本堂の簷先に坐っていると、全山ひぐらしの声でした。
  • 指導教授でたいへんお世話になったのは神谷順次(葵水)先生。先生の書に対する持論は「書を書くということは未見の世界を已見の世界にするという崇高な行為である」。自己の目指す書は初めぼんやりとして、実際に書いてみるとそうではないことに気づく。それを繰り返すことによって徐々に理想の美に近づく、その行為が尊いのだと。
  • 先生ではもうお一人。中国哲学の日原利国先生のこと。「書論講読」の講義を思い出します。折に触れお話しされることは「書をやるのは結構なことだ。だがくれぐれも書くだけの人間にはなるな」という戒めの言葉。
風岡正明前会長作 淋鈴 画像

以上、幾つか思い出すまま並べましたが、これら大学生活における一つ一つの出会いが私の人生の方向を決める大きな要素となったことは間違いありません。

最後に私の近作を紹介して筆をおきます。言葉は「淋鈴」。書いた年月は令和8年7月。