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会長あいさつ

同窓会広報

第49号
教学の魅力を高めるために
会長  市 野 聖 治
会長あいさつ
母校だより
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令和5年度愛知教育大学同窓会総会・懇親会
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役員・支部長
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会員の声
会長 市野聖治 写真

 世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の流行(コロナ禍)は、社会に「感染防止の対策」と「経済活動の停滞」のジレンマ(板ばさみ)というこれまでにない複雑な影響をもたらした。

 我々は、この苦境をただ耐え忍んでいたわけではない。少し大げさに表現すれば、未知の難題に対し、思考・挑戦を試み、新しい解決を見出そうとしてきた。これは、創造的なイノベーションによってもたらされつつある第4次産業革命の進展とも相まって、社会の生産、販売、消費、公共サービス(特に教育)等、幅広い分野において、人々の働き方、ライフスタイルの改革にも大きな影響を与えることになった。

 このコロナ禍の厳しい環境を乗り越えてきたのは、第4次産業革命がもたらす超スマート社会への実装実験の成果の一部によるものとも考えられる。これら(遠隔会議、オンライン授業など)は、結果的ではあったにせよ、大きな社会改革を生み出した。

 我々は、安易に「コロナ禍前」へは戻れない、すでに、引き返せない新しい「超情報社会」に突入しているといえよう。言い方を変えれば、実装実験の結果を踏まえ、超スマート社会への進展に向けた行動が、新たに期待されていることになる。前号(会報第48号)でも述べたように、「長寿化の進展」と「テクノロジーの進化」の複合的な挑戦が極めて重要で不可欠な課題となる。

 日本の高齢化率(65歳以上の)は、2024年に30.1%を超えることが予測されている(世界最速)。その流れの中で、日本の生産性を維持・発展させるには、高齢化する労働者の創造性が他の主要国以上に求められ、社会の変化に適応できる80歳までの労働の質・量の確保が必然となる。

 これまでの工業社会における教育機関は、暦年齢を基準に「教育→仕事→引退」という3ステージの人生を前提に、画一的な「一斉行進型」で運営されてきた。しかし、このままでは、複雑社会における激しい「長寿化とテクノロジーの進化」に対応できない。つまり、柔軟で、多様な、「マルチステージ型」の運営が早急に求められる(破壊的イノベーション)。その対抗を誤れば、教育という古い産業は、大きな脅威(国際的標準から脱落)にさらされることになるであろう。

 日本のGDP(国内総生産)の推移は、20年以上「横ばい状態」である。これは、かって世界第2位の経済大国を誇った日本が、現在新たな価値を生み出せない「無気力な」国になり下がったことを意味する。これらの問題解決の糸口は、「教育」そのもの、それも初等─高等教育への「創造性」、「自律(立)性」、「多様性」に立脚した無形資産の「豊かさ」づくりへの研究に求められよう。その背景に何があるのかを把握するには、教育(学)×経済(学)の国際的視点が重要なヒントとなるであろう。今まさに、教学の魅力を高めるのは、我々の「自己変革力」にあるといえる。