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母校だより

同窓会広報

第50号
教員採用試験の「早期化・複線化」に思う
名誉会長  野 田 敦 敬
会長あいさつ
母校だより
進路状況
令和6年度愛知教育大学同窓会総会・懇親会
令和6年度 愛知教育大学同窓会総会での会員の発言
愛知教育大学同窓会会則・寄附金等受入規約
個人情報保護方針
役員・支部長
事業報告
事業計画
決算
予算
実施事業の概要報告
地区・支部だより
会員の声
名誉会長 野田敦敬写真

 まず、この同窓会広報誌が第50号を迎えるということ、関係者のこれまでのご尽力に敬意を表すると共に、平成9年度より本部事務局が大学に移り、この広報誌の寄稿・編集及び配布等に各地区・支部のご協力に感謝いたします。

 ご存知のとおり本学は、昨年度創基150周年を迎え、記念式典はじめ様々な記念事業を行いました。同窓会からも多大なるご寄付や記録資料の提供をいただき、全事業を滞りなく終了することができました。この場をお借りして御礼を申し上げます。ありがとうございました。記念式典をはじめ、事業のいくつかは本学HPにありますので、ぜひご覧ください。

 さて、多くの都道府県や政令指定都市が、これまで教員採用試験は、7月後半に第1次試験、8月後半に第2次試験を実施していました。中央教育審議会答申や文部科学省の指示で、試験倍率をあげるために企業や公務員の就職試験状況を考慮し、今年度からそれぞれひと月程度前倒しをはかり、6月16日を第1次試験の標準日としました。さらに令和7年度は、もうひと月早め、5月11日を標準日として提案しています。また、大学3年生の受験も可能とし、「早期化・複線化」と呼ばれています。6月18日の朝日新聞第1面に「教員採用試験6割前倒し 民間流出防ぐ狙い 志願者増は一部」と報じられました。本学の3年生の受験者数は、まだ正確な数字は出ていませんが多くても1/4程度にとどまりそうです。3年生の5月上旬に教員採用試験が早まることで、どういう現象が起こるのでしょうか。まず、大学に入学して間もないころから教員採用試験対策をする必要が出てきます。また、教職課程を半分も履修していない状況で教員採用試験受験となります。もちろん教育実習前の受験となります。4年生は、採用試験第1次、教育実習、採用試験第2次という順での日程となり、ひと月半程度の間に三つをこなさなければなりません。精神的にはかなり厳しい状況です。また、教職課程の中核である教育実習にじっくり取り組める環境ではなくなります。

 私は今年の入学式の告辞で次のように話しました。「・・・教員採用試験が3年生から受験できるようになるなど、就職活動が早まる傾向にあります。しかし、質の高い教員等を目指すなら、学生時代には多様な体験をしてほしいと思います。例えば、部活動、アルバイト、旅行、ボランティア活動などです。これらの活動を通して、周囲の人々と直接的な対話を繰り返し、信頼関係を築いてほしいと思います。また、周りには多様な環境におかれた人々がいます。このような状況を常に心に留め、自分ができること、配慮しなければならないことを考え行動してほしいと思います。このように、多様な人々と関わる中で『人間力』が育成されると思います。・・・」学生時代に多様な体験をすることが必要であり、その時間をじっくり確保してこそ質の高い教員養成につながると考えます。その意味で、教員採用試験の更なる前倒しは熟考いただきたいと思います。


新役員部局長の紹介

伊藤 貴啓 写真
伊藤 貴啓
理事
(教育・
学生担当)・
副学長・
附属図書館長

  太田 知啓 写真
太田 知啓
理事
(総務
・財務担当)
・副学長
・事務局長

一宮 登 写真
一宮 登
理事
(大学経営担当)

小塚 良孝 写真
小塚 良孝
副学長
(カリキュラム
改革・
国際交流・
未来共創担当)

梅田 恭子 写真
梅田 恭子
副学長
(入試・
ICT活用
指導力育成
担当)

  國府 華子 写真
國府 華子
副学長
(学生支援担当)

竹川 慎哉 写真
竹川 慎哉
学長補佐
(教育科目等
改革担当)

山口 匡 写真
山口 匡
学系長
(教育科学系
・課程長
(学校教員
養成課程))

矢島 正浩 写真
矢島 正浩
学系長
(人文社会科学系
・課程長
(専門職学位
課程))

  伊藤 俊一 写真
伊藤 俊一
学系長
(自然科学系
・課程長
(教育支援
専門職
養成課程))

鷹巣 純 写真
鷹巣 純
学系長
(創造科学系
・課程長
(修士課程))


愛知教育大学創基150周年記念事業 記念植樹

 令和5年、愛知教育大学は明治6年に本学の前身である「愛知県養成学校」が設置されてから150年の節目を迎えました。これを記念して、大学構内の附属図書館前広場とAUEスクエアにヒガンザクラが植樹されました。また、「記念植樹プレート」も併せて設置され、そのプレートの除幕式が令和5年10月23日に行われました。学内関係者が立ち会い、見守る中で、野田学長が除幕を行いました。

 春には、入学式や卒業式を祝うやさしい薄紅の色が、その後は学びを深めていこうとする学生を後押しするような葉の緑色の変化が、私たちの目を楽しませてくれます。来学時にぜひご覧いただければと思います。

記念植樹プレート
記念植樹プレート
除幕する野田敦敬学長
除幕する野田敦敬学長
学長・理事で記念撮影
学長・理事で記念撮影

特別支援教育棟改修

特別支援教育棟 外観
外観
特別支援教育棟 中庭
中庭
特別支援教育棟 聴力検査室
聴力検査室
特別支援教育棟 大プレイルーム・多目的スペース
大プレイルーム・多目的スペース

就職支援

就職支援室 電子看板による講習案内
電子看板による講習案内
就職支援室 講習のためのスペース
講習のためのスペース
就職支援室 教員採用試験過去問収容・貸出
教員採用試験過去問収容・貸出
就職支援室 資料閲覧・相談スペース
資料閲覧・相談スペース

本学同窓会50年とさらなる未来

事務局長・教育ガバナンス講座
江 島 徹 郎
(昭63・平2院)

 『母校の歴史と同窓会百年』編集委員(2001)によれば、本学同窓会は、昭和50(1975)年2月23日(日)に発足しました。これを昭和49(1974)年度と考えると、令和6(2024)年度で発足50周年となります。

 織田信長が、桶狭間の戦いの際に舞ったと言われる、伝統芸能「幸若舞」のひとつ『敦盛』の一節「人間五十年 化天の内をくらぶれば 夢幻のごとくなり」のように、古であれば、ひとりの人生に相当する年月を経たことになります。

 本学は、明治6年(1873)年に設立された愛知県養成学校等を創基とし、愛知第一師範学校、同第二師範学校、愛知青年師範学校を統合し、昭和24(1949)年春に愛知学芸大学として発足しました。

 そのため、本学同窓会は、大学発足後も、これら3つの師範学校の同窓会である芳陵会、竜城会、青年師範同窓会(以下「三地区会」)に分かれて組織していました。

 昭和41(1966)年春に愛知教育大学への名称変更、ならびに昭和45(1970)年に、大学のキャンパスが刈谷に統合されました。同窓会では、「同窓会は、母校とともにあるのが本来の姿であり、これを統合しなければ愛教大の同窓会は生まれない」(『母校の歴史と同窓会百年』編集委員、2001、429)との問題から、昭和47(1972)年9月に、「統合検討委員会」を設置して、統合の検討に入りました。

 こうして、昭和50(1975)年2月23日(日)に、現在の本学同窓会が発足しました。初代会長は中川耕作先生でした。役員や事務局は、三地区会の持ち回りでした。

 また、昭和56年(1981年)8月に開催された特別委員会において、事務局を大学におくべきではないか、との議論がすでになされています。

図1 平成13(2001)年度 総会の様子(広報誌第27号より)
図1 平成13(2001)年度 総会(広報誌第27号より)

 やがて、本学は、昭和62年(1987年)に、総合科学課程を設置し、ここに教員をめざさない人材の育成を行うこととなりました。これに呼応して、当時(株)リクルートの社長であった位田尚隆氏らを中心に、民間企業に就職した卒業生を中心とした同窓会東京支部の発足を試みる等しました。

 そのため、三地区会を基盤とする事務局では、時代の変化に対応できない、との指摘があり、平成9年(1997年)6月より、事務局を大学に移転しました。会長や事務局長は、大学教員からの選出となり、その初代会長は將積茂先生、事務局長は柴田録治先生でした。その後、仲井豊先生、柴田録治先生、竹原裕先生、市野聖治先生を経て、令和6(2024)年春に風岡正明先生が会長に就かれました。また、事務局長は、𩵋住忠久先生、丹羽晧夫先生、杉浦正好先生、野田敦敬先生、石川恭先生の後、令和2(2020)年春から江島徹郎が就いています。

 同窓会は、平成11(1999)年度に最初の同窓生名簿を発刊しました。その後、4年に1度、令和5(2023)年には7冊目の同窓生名簿を発刊しました。名簿には9万人を超える方々を掲載しています。また名簿を大学と共有することとしました。

図2 広報誌第44号
図2 広報誌第44号

 平成30年(2018)年の広報誌第44号からは、従来モノクロであった印刷がカラーになりました。

 令和5(2023)年春には、愛知県内のいくつかの市町村に勤務する同窓生による公務員部会が発足しました。

 昨今、同窓会の運営に、同窓生の皆さまから、厳しいご指摘等を受けることがあります。事務局は、運営が適正であることはもちろん、さらなる透明性の確保と、活動にご理解を得るための広報等に、きちんとあたっていきたいと考えます。

 振り返ってみれば、本学は、教員養成を主軸とする大学として、長い歴史と高い実績を誇りますが、それ故に、新しい広がりを持つことが難しい点があると言えるでしょう。当然ながら、同窓会も、同様の課題を抱え、先達の方々は、さまざまな取り組みによって、新しい発展に挑戦してこられたと感じます。

 これらは、うまく行ったこと、行かなかったこと等、いろいろあると感じますが、現代を生きる私たちは、この取り組みと挑戦の伝統を受け継ぎ、次の50年に向けて、同窓会のさらなる発展と、同窓生のより一層の活躍に資すること、取り組んで行きたいと考えます。

文献
『母校の歴史と同窓会百年』編集委員、母校の歴史と同窓会百年─三河教育の潮流─、愛教同三河地区会・竜城会、2001